Webの技術が使えない時は「WCAG2ICT」

この記事は、Web Accessibility Advent Calendar 2015の22日目の記事です。

Web Accessibility Advent Calendarに参加させていただくのは今回で二回目です。
去年もそうだったのですが、ギリギリまで何を書こうか迷ってしまい、危うくヒップホップを歌って踊りそうになりました。
公開するのが少し遅くなってしまい、@kazuhitoさん、申し訳ありません・・・。

それでは始めに、簡単に自己紹介をします。
私は今井大地と申します。ちなみに12月22日は誕生日です。
アクセシビリティをやりたくてWebの仕事を選び、主に東京と神奈川でWeb制作をやっています。
マークアップエンジニアから始めて下流工程・上流工程を経験して、今は背伸びして名刺の肩書きを「Webアクセシビリティ エバンジェリスト」にしています。
今回の記事の概要は次のとおりです。

概要

  1. こんな感じでアクセシビリティをやっています。
  2. 「WCAG2ICT」をご存知ですか?
  3. まとめ

こんな感じでアクセシビリティをやっています。

私の所属する会社はデザインを専門にしています。
デザインする対象は書籍などの紙媒体から映像や工業製品のパケージ・建築物の意匠設計・サウンドサインやIT関係などです。
私の担当であり専門なのはWebアクセシビリティですが、Webの案件に限らず、お客様には機会があればアクセシビリティ観点からのご提案をさせていただいています。

そんな関係で、私のメイン業務はWeb制作なのですが、Web以外のデザインに関わる機会もあります。その時はWebアクセシビリティの知識を役立ています。

例えば、雑誌のビジュアルには、色のコントラスト比の基準を「WCAG 2.0」に求めますし、映像制作の現場においては「WCAG 2.0」の1.2「時間の経過に伴って変化するメディア」や、閃光のような効果を使用する際には「WCAG 2.0」の2.3「発作を引き起こす恐れのないようにコンテンツを設計する。」などを気にします。

そういったこともあり、最近ではお客様から「これをアクセシブルにして作ってください」というようなご要望を頂くことが幸いにも増えてきました。
「アクセシビリティ」好きの私にとってはうれしい限りです。
要件を定義する際には、制作対象の分野における「アクセシビリティ」の基準を、状況に合わせてお客様やその道の専門家と相談しながら決めていきますが、核となるのは法律やJISやISOを筆頭に、さまざまなガイドラインです。

「WCAG2ICT」をご存知ですか?

「Webアクセシビリティ」といえば今は「WCAG 2.0」だと思いますが、2015年12月22日現在、W3CがWorking Group Noteとして「WCAG2ICT」を公開しています。
これは「WCAG」がWebのガイドラインなのに対して、Web技術を用いていない情報通信技術(ICT)に対して「WCAG 2.0」を適用するためのガイドラインで、WAIのワーキンググループが作成したそうです。
「WCAG 2.0」のそれぞれの達成基準に対して「WCAG2ICT」を適用するためのガイドラインが記載されています。

もちろん、Web技術を用いていない情報通信技術(ICT)に対するアクセシビリティ関係のガイドラインは「WCAG2ICT」だけではありませんが、「WCAG 2.0」に親しんでいる方にとっては理解しやすく使い易いガイドラインとなっています。

ところで、「Web技術を用いていない情報通信技術(ICT)」とは何を指しているのでしょう?
どんな時に「WCAG2ICT」を使えるのでしょうか?

「Web技術を用いていない情報通信技術(ICT)」とは、「WCAG2ICT」によるとWebを用いないドキュメントやソフトウェアを指します。
簡単にすると、いわゆる「ユーザエージェント」を使わないで使用するアプリケーションやソフトウェアというイメージで大きなズレはないように思います。
そもそもWebとは何か?については議論があると思いますが、ここでは取り上げないことといたします。

なお、「WCAG 2.0」ではユーザエージェントを次のように定義されています。

user agent
any software that retrieves and presents Web content for users
Example: Web browsers, media players, plug-ins, and other programs — including assistive technologies — that help in retrieving, rendering, and interacting with Web content.

要約すると、「ユーザーのためにWebコンテンツを提示するWebブラウザや支援技術など」となるのでしょうか。

まとめ

例えば炊飯器や掃除機などの家電の液晶モニター、飲食店やカラオケにある操作盤、ATMや電車の券売機など、多くの方に利便性(時には不便)を与えるコンピュータは人々の生活に溶け込み、デザインの基本としてのアクセシビリティを、利用者は意識することなく当然のこととして受け入れ、制作者はより意識的になっているように、私の半径5メートル以内の世界では感じます。

ウェラブル・デバイスの普及や、IoT(Internet of Things)やWoT(Web of Things)の進歩に伴い、Web技術の利用方法は、今後ますます多様化していくのではないでしょうか?
また、Web技術を利用していないコンピュータも、これからもっと身近になってゆくのではないでしょうか?

ただでさえ情報過多なのにさらに情報が増えるのは怖いですし、利便性によって失うもののことを考えると眠れなくなりますが、アクセシビリティ好きの私としては、今まで選択すらできなかったことが選択できるようになったら、それが幸せなのかかどうかはわかりませんが、人の尊厳を守るような分野で、アクセシビリティが大きな力を発揮すると思っています。

ただ、ネガティブな面、例えばWebアクセシビリティを利用するための精密機器を製造する際の環境負荷や人的資源のことは、深く知り、考えていかないといけないなと思ってはいるのですが、なかなか手をつけられずにいるのが悔しいです。
万が一、思い立った時には、その辺りの調査をこのブログで発信していこうと思います。

Web Accessibility Advent Calendar 2015のお題は「Web アクセシビリティの話題について何でも。」ですが、逆説的なアプローチとなってしまいましたがお許しください。

それでは長文駄文失礼しました。
良いお年を!